「京-ゐなか」世界の成立・展開と中世社会
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概要
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中世荘園公領制社会の成立は「ゐなか」の語義に変化をもたらした。「ゐなか」は田やそこで行われる農作業と結びつき,都の富の源泉としての生産の風景をあらわすものとして,京と対比的に使われる語となった。古代においては鄙と呼ばれた地域も「ゐなか」と称されるようになっていく。中世成立期の大開墾の時代にあって,開発に傾けられた民衆の営為工夫は,自然の開発と多様な土地利用による耕地景観の多様性,重層性を生んだ。田園地帯から自然にまで広がる「ゐなか」の語彙は,このような現実の中から歴史的に形成された。 また,荘園公領制下の頻繁な都と在地の往反のもとで,はじめ都市貴族のものであった「ゐなか」への蔑視の視線は,都市民衆のレベルまで下降し,都の文化への憧憬を媒介として在地の中に「ゐなか」の劣等意識を内在化させていく。
- 松山東雲女子大学・松山東雲短期大学の論文
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