原典版の活用法についての試論 : バッハのクラヴィーア作品を中心に (音楽表現学科特集号)
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概要
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20世紀の半ば頃にJ.S.バッハのクラヴィーア作品の原典版が出版されて以来、今日ではその重要性が唱えられその普及率は、わが国においても確実なものとなった。しかしその楽譜を手にした時、音符以外には何の情報もない事に戸惑いを隠せない人たちも少なくない。音符以外に何の指示も書き入れないのはバロック時代の慣習であった。残念なことにJ.S.バッハも例外ではなく、殆ど彼の意図を作品中に残してはくれなかった。従って専門家かもしくは特別に関心を抱いている人以外には原典版は理解しにくく利用もしにくい。しかし、その一方では、J.S.バッハを演奏したり勉強したりする人は「原典版の使用」が必須条件になっているという現状がある。またJ.S.バッハが使っていた鍵盤楽器は、現在我々が弾いているピアノとは構造も演奏法も全く異なる。ここではその違いに触れ、原典版を読解し、演奏に結びつける方法の一端に迫りたいと思う。
- 尚美学園大学の論文
- 2004-09-30