ヤナーチェクの作品とモラヴィア民謡の関連性を探る : ピアノ作品「草かげの小径」を題材として
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概要
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レオシュ・ヤナーチェク(1854-1928)はチェコの近代音楽を代表する、どのジャンルにも属さない独自の作法を編み出した作曲家である。それゆえ、正統派の間で長い間無視され50歳頃になってようやく世の中に認められるようになり、その後亡くなるまで次々に名作を発表していった。彼の音楽を語るときオペラやモラヴィア民謡なしでは語れない。交響曲や器楽曲にも必ず背景にはドラマがあり、話し言葉や人間の内に秘められた内容そのものに密接な繋がりがある。人間の持つあらゆる感情思考が音符に刻み込まれており、音楽の解釈は決して理論的であってはならない。また、彼はしばしば「瞬間の真実」を最も大事だと考え、ダイナミックスやテンポや発想記号をその場で変えたりもした。ヤナーチェク自身は"氷のような冷たい美とは何だろうか? 私は、どの音もただ指の運動を通して出たものではなく、燃える心を通して響いた音を聴きたい。"(注1)と言っている。ここでは、オペラを語る以前に長年にわたってモラヴィア民謡収集家として活躍してきたモラヴィア民謡に彼の音楽表現の原点があると考え、ピアノ曲「草かげの小径」を通してその関連性を探ってみた。
- 2004-03-31