原典史料紹介 : ドゥッチオ・ディ・アマドーレの『聖帯 : Cincturale』
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概要
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中部イタリアの小都市プラートのサント・ステファノ聖堂には、聖母が被昇天の際に使徒トマスに与えた帯が12世紀末に寄進されたと伝えられる。この帯の聖遺物崇拝すなわち聖帯崇拝は13世紀第3四半世紀より盛んになり、同聖堂では《聖母被昇天と使徒トマスへの聖帯の授与》の主題が頻繁に造形化された。その際、典拠として重要な役割を果たしたのが、聖帯の由来を物語るテキストである。最古の『聖帯の歴史』は、13世紀第3四半世紀頃にサント・ステファノ聖堂参事会により編纂された。だが1340年には、今度はコムーネの文法教師ドゥッチオ・ディ・アマドーレが『聖帯』を執筆した。この『聖帯』は、コムーネ側の人物によって執筆され、当時のコムーネの政治的立場を表明する記述が随所に見られるという点で特異である。1340年頃にコムーネ政府が聖帯をどのように位置づけていたかを知り、聖帯崇拝と美術の関係を解明する一助とするために、本稿では『聖帯』の邦訳を試みる。
- 2004-03-31
著者
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