原典資料紹介 : 『プラートの聖母マリアの帯の歴史 : Historia Cinguli sanctae Mariae de Prato』(情報表現学科)
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概要
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イタリアの小都市プラートのサント・ステファノ聖堂では、聖母の帯の聖遺物崇拝すなわち聖帯崇拝が13世紀第3四半世紀より盛んになり、聖帯の来歴とその正統性を裏付ける文献として『聖帯の歴史』が編纂された。そして、同聖堂では13世紀末から15世紀にかけて、そのテキストを典拠として《聖母被昇天と使徒トマスヘの聖帯の授与》の主題が頻繁に造形化された。オリジナルの版の『聖帯の歴史』は現存しないが、フィレンツェ国立中央図書館所蔵の15世紀のラテン語写本『プラートの聖母マリアの帯の歴史』(Magliabechiano XXXVII, 323)の前半部のテキストは、オリジナルの版とほぼ一致すると考えられる。同写本の前半部は、聖母被昇天について述べた最古のテキストである6世紀頃の東方の偽書『聖母の帰天』、聖帯のプラートヘの到着の伝説、7つの奇蹟を含み、後半部は1312年に起きた聖帯の盗難と奇蹟、裁判記録と聖帯の管理について記している。後半部は、同年以降にオリジナルのテキストにつけ加えられたに違いない。プラートの聖帯崇拝の様相と13世紀末から15世紀の美術作品の関係を解明する一助とするために、本稿では本写本の邦訳を試みる。
- 2003-03-31
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