日本語母語話者が日本語学習者に求める音声能力について
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概要
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本稿では、日本語母語話者が日本語学習者の発話を聞く際に、音声能力の評価として、何を基準としているのかを明らかにすることを目的とした。調査は、日本語を母語とした20代から60代までの男女50名を対象とし、日本語学習者3名の発話を録音したテープに関するアンケートで行った。AとBの2つの設問を用意し、設問Aは音声能力に対する評価の基準を測るために、音声能力を「文のイントネーション」、「単語の発音」、「単語のアクセント」、「スピード」の4項目に分け、各項目に対して点数で評価する形式とした。また音声能力の全体的な評価として、総合点と、その判断を下す決め手となった項目を選択させた。設問Bは、発話のスクリプトに、気になった部分を記入する形式とした。この調査から、音声能力の中で、日本語母語話者が日本語学習者の発話を聞いて評価をする際に決め手となったと認識している項目は「イントネーション」であるということが分かった。しかし、設問Aで得られた各項目の評価と、設問Bで得られた結果の比較では、「イントネーション」が必ずしも他の評価項目より影響が大きいというわけではないことが確認された。以上のことから、日本語母語話者が日本語学習者の発話を聞く際に、音声能力の評価において意識的に決め手とする要素は「イントネーション」であるが、実際の評価では、「イントネーション」以外の要素も重要となっていることが考えられた。
- 2006-09-30