途上国企業の製品開発能力構築過程におけるQCD管理能力向上の効果 : タイ系自動車部品メーカーを事例として
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概要
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タイ国の自動車産業が生産・輸出拠点としての発展を続けた結果、部品メーカー、とりわけ一次サプライヤー企業は、製品開発についても一定の役割を担うことが要求されることになった。しかし、タイ系一次サプライヤーの多くは、経験不足もありこれまで製品開発に関わる能力を蓄積することができなかった。そこで本研究では、こうしたタイ系一次サプライヤーの能力構築をより効率的効果的に進めるための方法について検討する。具体的には、組織レベルでの品質・コスト・納期(QCD)管理能力形成による製品開発能力構築への貢献に焦点を当てている。技術移転の段階論、技術の吸収能力に関する議論、品質とイノベーションの関係についての議論といった既存の関連研究では、こうした点が必ずしも十分に論じられていないが、研究対象であるタイ系一次サプライヤーでは、製品開発能力構築の初期段階にあることから、QCD管理能力の持つ意味が大きいと考えられるためである。結果として、タイ系自動車部品メーカーのS社のケースによると、QCDレベルの活動の充実からあらゆる要素を段階的に発展させていくという考え方の下で、能力構築が進められていることの妥当性が説明された。この発展プロセスは、3 年目を迎えた現在、順調に推移しており、特にエンジニアの能力向上は確実なものであると評価できる。同産業では、当初のS社のように、製品開発に直接関係するCAD設備やテスティング施設の充実を急ごうとする地場企業が多いが、QCD管理の充実とそこからの段階的な発展が必要不可欠であるということが、充分に理解されるべきである。
- 国際ビジネス研究学会の論文
- 2007-09-30
著者
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