129 制振発電装置の研究 : 有限動力源の場合
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概要
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機械や構造物の振動を抑える装置として,様々な制振装置が実用化され,近年はパッシブな動吸振器に制御機能を加えたハイブリッド型の制振装置が設置されることが多いが,この装置は,ハイブリッドとはいえ,制振のための外部エネルギーが必要である.この欠点を補うために,近年,パッシブ時の振動エネルギーを用いてアクティブ時に必要なエネルギーを供給し,外部からのエネルギー供給を不要とした制振装置の研究が行われ実用化されているものもある.これに対して,著者の一人は構造が単純なパッシブな制振・発電装置の研究を行ってきた。すなわち,振動を一方向の回転運動に変換できるフラフープの原理を利用したフラフープと発電機からなる装置である.これらの研究は強制振動の制振と発電に関するものと,自励振動の制振と発電に関するものに分けられるが,強制振動の研究では理想的な動力源をもつ振動系を対象にしていた.そこで,本研究では,制振発電装置の実用化の観点から有限の動力源をもつ機械・構造物の制振と発電の可能性を実験と数値解析から調べた.有限な動力源としてDCモータを用い,アンバランスを回転させ,遠心力型の強制力により一自由度振動系に強制振動を発生させた.この系にフラフープと発電機からなる制振発電装置を設置した時の制振効果と発電量を調べた.実験で用いた動力源モータのトルク特性を図A1に示している.回転数の増加とともに出力トルクが減少しており,有限な動力源の特徴を示している.実験と数値計算による共振曲線をそれぞれ図A2,A3に示している.共振点を越えた高振動数域において制振されていることがわかる.一方,全消費エネルギーについては,動力源が有限なため動力源の消費電力が増加してしまい,総合的に省エネにならない実験結果となった.しかしながら,発電能力が小さい発電機を用いると,制振効果が著しく向上し,振動振幅が制振発電装置を設置する前の1%以下になること,および図A4に示すように消費エネルギーも減少し,制振と省エネが両立できることを示した.また,本装置が効果的な振動数の領域では平均法を用いた解析でも十分な精度があることもわかった。
- 2006-08-06
著者
-
吉武 裕
長崎大学大学院生産科学研究科
-
原田 晃
長崎大学工学部
-
柴田 佳紀
三菱自動車エンジニアリング(株)
-
永代 行日出
三菱重工業(株)
-
吉武 裕
長崎大
-
吉武 裕
長崎大 大学院生産科学研究科
-
柴田 佳紀
三菱自エンジニアリンク
-
永代 行日出
長崎大院
-
原田 晃
長崎大
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