718 矩形ダクトに設けた直線状スプリッタによる高次モード音波の低減
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概要
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ダクト騒音対策の一つとして,矩形ダクト内部にスプリッタを設ける消音法がある。音の伝ぱ経路差を利用した干渉形消音器であり,平面波に対してはダクト曲がり部に設けるコーナベーン方式となる。しかし伝ぱ音が高次モード波であれば,ダクト断面の音圧が一様でないため,ダクト直線部に設けた直線状スプリッタにおいても消音効果が得られる可能性がある。本研究ではFig.A1のx方向1次モード波について,スプリッタの長さと挿入位置を種々変化させた場合の音の透過損失を測定し,消音周波数と音の低減量をまとめる。Fig.A1のy方向に音場は一様であり,スプリッタの特性はl, a, hで定まる。hを基準寸法とし,波数kによる無次元周波数khを用いる。1次モード波の伝ぱ特性を正確に測定できる実験装置を用いて,スプリッタでの透過損失の周波数変化を調べる。測定範囲はπ<kh<2πである。この範囲内で,スプリッタを設けることによって透過側に平面波が生じることはなかった。Fig.A2は透過損失曲線の一例である。透過損失が極大値TL_<MAX>を取る周波数を干渉周波数kh_Iとする。特性はスプリッタ寸法によって変化し,それぞれ2つの干渉周波数が存在する。低周波側から順に1次,2次と呼ぶことにする。Fig.A3には,スプリッタ条件に対する干渉周波数(1次,2次)の変化をまとめた。スプリッタが長く,ダクト壁に近いほど,kh_Iは概ね小さくなる傾向を示す。しかし,この傾向に反する場合もあり,kh_Iの変化は単純なものではない。Fig.A4には,スプリッタ条件に対する最大透過損失の変化をまとめた。図が煩雑になるのを避けるため,1次での値のみ示す。全体的には,スプリッタが長いほどTL_<MAX>は大きくなる。また,ダクト中心とダクト壁との中間付近(a/h=0.2もしくは0.3)にスプリッタを置けばTL_<MAX>は大きくなる。ただし,スプリッタが長いときの消音効果は,スプリッタがダクト壁に近いほうが大きくなる傾向にある。平板スプリッタを1枚挿入するだけの単純な方法で,最大30dB程度の効果が得られるが,上記のとおり,現象の特性把握はなかなか難しい。モード波はz方向波長が周波数依存し,xy面内での音圧変化もあるので,複雑な特性を示す。現在,有限差分法を用いた数値計算によって実験とほぼ同等の結果を得るに至っているので,今後は計算によるダクト内音場理解を進めていく予定である。
- 2006-08-06
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