ベンゼンとその非酵素的代謝物のナチュラルキラー細胞に対する作用 : マウス脾細胞を用いてのin vitroの研究

概要

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マウスの脾細胞を用いて,インビトロでのベンゼンとその非酵素的代謝物であるフェノールとヒドロキノンを用いてナチュラルキラー細胞(NK細胞)活性への影響を検索した.NK細胞活性の指標は^<51>CrをラベルしたYAC-1細胞(標的細胞)をマウス脾細胞(エフェクター細胞)と温置した時の^<51>Cr遊離パーセントを用いた.なお細胞浮遊液にベンゼン,フェノール,ヒドロキノンのいずれかの溶液をいろいろな濃度で加えた.エフェクター細胞と標的細胞の比(E/T)は,100/1,50/1,25/1の三段階を用いた.NK細胞の活性を抑制するベンゼン濃度は1×10^<-5>〜5×10^<-5>Mであり,フェノールのそれは1×10^<-7>〜5×10^<-5>Mであり,ヒドロキノンのそれは1×10^<-6>〜1×10^<-5>Mであった.フェノールとヒドロキノンはNK活性を濃度依存的に阻害した.この結果は,ベンゼンの非酵素的代謝物であるフェノールとヒドロキノンは腫瘍免疫監視系の抑制を行うことを示し,これがベンゼンの発癌性と関連すると思われる.
社団法人日本産業衛生学会の論文
1989-09-20