両側外腸骨動脈閉塞症および左鎖骨下動脈閉塞合併例に対して冠動脈バイパスを行った1例
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概要
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症例は73歳,男性.突然の前胸部痛を主訴に当院に救急搬送となり,同日の緊急カテーテル検査で左主幹部病変を伴う3枝冠動脈病変を認める急性心筋梗塞と診断され,責任病変と考えられた右冠動脈のインターベンション後,残存病変に対する冠動脈バイパス手術目的に当科紹介となった.術前精査で左鎖骨下動脈閉塞による盗血現象(subclavian steal phenomenon),および両側外腸骨動脈に閉塞病変を認める閉塞性動脈硬化症(ASO)を合併し,左主幹部分岐部の冠動脈瘤を疑う左主幹部狭窄病変を伴う重症3枝病変の虚血性心疾患(IHD)と診断した.治療戦略として,LADおよびLCX領域の冠動脈血行再建と同時に,冠動脈瘤切除を予定した.術後心機能低下時の補助循環に備え,上行大動脈-右大腿動脈人工血管バイパス術を併施し,患者への手術侵襲を軽減するために左上肢および左下肢への血行再建は後日に施行する2期的手術を選択した.術中所見で冠動脈瘤は認めず,瘤切除は施行しなかったが,予定どおりの手術を施行し,術後補助循環を使用することなく,術後24日目に2期目の手術を施行し,術後経過良好で2期目術後20日目に退院された.本症例のように複雑なIHDとASOの合併した症例は手術侵襲と術後補助循環挿入ルートを十分に考慮した治療戦略をたてる必要があると考えられた.
- 2008-03-15
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