成人の卵円孔弁(中隔鎌)の形態について
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概要
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成人の卵円孔弁(中隔鎌)についての詳細な記載はほとんど無い。そこで卵円孔弁の形態を解剖実習体124 体(男性68 体,女性56 体;平均年齢79.9±1.0)について調査した。調査例のうち11 例(8.9%)は卵円孔開存であった。卵円孔閉鎖例では,卵円孔弁〔中隔鎌〕は,1)不顕型:特別な構造物としては全く見られないもの(50 例,40.3%),2)単一型;単一の半月形を呈するもの(59 例,47.6%),3)多重型;複数の半月形を呈するもの(4 例,3.2%),の3 種類に分類された。単一型では,卵円窩の長軸と卵円孔弁の長軸は一致しない。これらの所見を外国の文献的に比較すると,不顕型が非常に多い。人種差,年齢層の違い,さらには既往の違いなども考慮する必要があるが,文献的情報が不十分なために解析はできない。今回の観察結果では,成人における卵円孔弁は,心房中隔の左心房側で卵円窩の床をなし,その前縁の弧の大きさと向き,および肥厚の程度は様々で個体差に富む,ということができる。
- 国際医療福祉大学の論文
- 2008-01-31