慢性群発頭痛に対する脳深部刺激療法(<特集>痛みの脳神経外科治療)

概要

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慢性化した群発頭痛はあらゆる治療に抵抗性で,患者の日常生活にまで支障をきたす.近年その治療としてhypothalamusに対するDBSの有効性が報告されている.本論では慢性群発頭痛に対する外科治療の現況を考察したうえで,われわれの経験した症例を報告する.Mayらは群発頭痛発作時の局所脳血流の変化をPETで観察し,発作に伴うhypothalamusのactivationが群発頭痛に非常に特徴的であると報告した.また群発頭痛患者におけるhypothalamusの形態および構造の異常を観察した.これらの報告は群発頭痛の中枢性の発生機序説を支持するものと考えられ,その治療のターゲットとしてhypothalamusが選択される根拠となった.慢性群発頭痛に対するhypothalamusへのDBSを行った最初の症例は,Franzini,Leoneらのグループにより報告された.その後,治療の有効性や副作用の面から痛みと同側のposterior hypothalamusが刺激位置として選択されるようになり,その治療効果が報告されている.われわれの症例もposterior hypothalamusに対してDBSが施行された.有効な刺激条件により頭痛は抑制され,元の職場に復職した.その後,頭痛が再燃したが,刺激条件の変更で改善した.現在,治療効果に関してより長期的な報告がされるようになり,hypothalamusに対するDBSは,他に有効な治療方法を失った慢性群発頭痛に対して有効な治療手段であると考えられる.しかし,手術に伴う脳内出血などの危険性もあり,施行される患者の選択や,施行する側の手技的な熟練性などに留意を要すると思われる.
日本脳神経外科コングレスの論文
2008-03-20

慢性群発頭痛に対する脳深部刺激療法(<特集>痛みの脳神経外科治療)

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