大乗の諸経論に見られる大乗仏説論の系譜 : II.『迦葉品』:仏陀の説法とその理解(上山大峻教授山田明爾教授定年記念)
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概要
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『般若経』が空・無自性の思想を内容とする「智慧の完成」の教説を宣布するにあたって抱えた課題,すなわち,1.この教説を拒絶し誹謗する者たちに対してはその非難を阻止し,2.これを恐怖する者たちに対してはたくみに教導すること,をみずからの問題として引き継いだ大乗経典に『迦葉品Kasyapaparivarta』がある。同経典には,『道行』と同じ支婁迦讖Lokaksemaによって後漢光和年間(A.D.178-184)に訳された最古の漢訳『仏説遺日摩尼宝経』があるから,その成立は『道行』とさほど離れているとは考えられない。以下,『般若経』が抱えた課題に対して,同経典より少し後に成立した『迦葉品』がいかに取り組み,また新たな言説を加えていったかを検証してゆくことにしよう。
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