教授・学習形態と子どもの社会化 : isomorphismアプローチによる考察
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概要
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教授・学習形態は主に学習効果,学力,学習意欲などとの相関で議論されてきた。講義式とグループ・ディスカッシンとを比較した結果,グループ・ディスカッションの方が学習効果が高かったことを最初に示したのは,グループダイナミックス,アクションリサーチの創始者K. Lewinであった。その後,同様の変数による実験が繰り返されたが,両変数の背後に教師の指導技術や教材の質や量など多様な変数が支配しており決定的な結果を得ることは困難であった。本稿では,従属変数を子どもの社会化に取り,自主協同学習形態と一斉教授形態を比較考察した。その際,アイソモルフィズム・アプローチともいうべき方法論に依拠した。教授・学習形態という授業集団の役割期待(role-expectation)が学習者に欲求傾向(need-disposition)として内面化されるとするパーソンズ行為理論の方法論である。学習形態が生起する学習場面の競争と協同,防衛と支持の風土,力の優位と劣位などが長期にわたって子どもたちを社会化している状況を明らかにした。