生産性の鈍化と技術進歩
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概要
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生産性を測定する場合にこれまで多くの経済学者達によって労働者の一人当り生産量と総要素生産性の二つの方法がとられてきた。前者では価格一定のもとでの生産物の付加価値と労働者の労働時間指数の差をもちいて生産性を測定するのに対して,後者では資本労働比率の伸び率をもとに生産性の伸びに物的資本の貢献度を前者から差し引くことからもとめられる。しかしながらその測定は常に変化している商品やサービスの実質的な付加価値にもとづいて正確な指数をはじきだすことが困難であるとともに,後者においてはさらに資本の効用率をいかに測定するかが難しい問題になってくる。本研究の目的は米国の生産性の伸び率を後者の方法を使って分析しようとするものである。今日のアメリカ経済における生産性の伸び率の鈍化の要因として,資本力の低下,R&Dのストックの減少,資本稼動率の減少などがあげられる。この研究のモデルにおいて,規模の経済における総要素生産性(TFP)の伸び率について次の式を導きだし,4つの要因について分析する:DTFP=Aα(1+θ)Σ_<si>DP_i+A[λ+βDY+(1-β)DN]+AαD(1+θ)+s_γ[1-Aα(1+θ)]DR+Aη(1-αβ)(1+θτη)^<-1>DT1)要素価格効果,Aα(1+θ)Σ_<si>DP_i;2)需要効果,A[λ+βDY+(1-β)DN];3)R&D効果,AαD(1+θ)+s_γ[1-Aα(1+θ)]DR;4)技術進歩の変化,Aη(1-αβ)(1+θτη)^<-1>DT.に分解,分析をはかるものである。このモデルは,全ての投入に対し費用極小化の均衡モデルであり,R&Dはある程度の収益が見込まれる水準まで調節される。このモデルにおける重要なパラメータは需要の価格弾力性と所得弾力性および可変費用関数の費用弾力性である。この研究の最終的な目的はこのモデルを米国の製造業の実証分析に応用して,1658-86年のアメリカ経済を,1958-65,1966-70,1971-75,1976-80,1981-86の段階に分けてその生産性の実態を明らかにすることである。
- 愛知学泉大学の論文
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