短鎖脂肪酸の受容体GPR41の欠損マウスを用いたメタボリックシンドロームにおける短鎖脂肪酸の機能解析
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概要
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短鎖脂肪酸(SCFA; Table 1参照)は哺乳類では主に腸内細菌叢(ミクロフローラ)で食物繊維から産生される生理活性物質で、消化管上皮細胞の増殖や免疫細胞の制御、糖脂質代謝の調節など多岐にわたる作用を持っていることは示唆されてきた。それにも関わらず、SCFAが如何なる分子メカニズムで標的細胞に作用を及ぼすかは殆ど解っていなかった。最近、新規G蛋白質共役型受容体(GPCR)であるGPR41とGPR43がSCFAの細胞膜受容体であるという大変興味ある事実が明らかになった。GPR41は主に脂肪細胞、GPR43は白血球細胞に発現しており、それぞれ脂質代謝や自然免疫において何らかの生理的役割を演じていると推測される。ここではこれらSCFA受容体発見の経緯とこれらの遺伝子欠損マウス作製の試みおよび抗体を用いた解析から得られた知見を述べる。Table 1 Short chain fatty acid (SCFA) [table]