《文化の伝達》の側面から見た『翻訳』に関する一考察 : 「雪國」における駒子の《感情表現》の仏訳を通して
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概要
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本稿では、今日まで頻繁に多くの研究者が対照研究の対象として取り上げてきた「雪國」の情景描写の表現部分を敢えて避け、主人公である駒子の'Dialogues'の中に見られる「感情」-悲しみ・怒り・嫌悪など-を表す言葉を検討の対象とした。そして、中でも翻訳の内在的価値を考えるための手がかりとして「えらい」、「見える・見えない」、「いけない・だめ」、「いや」、「難儀」などについての駒子の心的情況、心の奥底について訳者が前後の情況をしっかりと把握し、如何に理解しやすい表現によって読者に伝えているのか、また、訳者が川端の思想を如何に読み手に伝えようとしているのか、さらに、これらを総括的に捉えて、文化の伝達手段としての翻訳は如何にあるべきかを検討した。