割引債ヨーロピアン・コール・オプション・プライシング(創価大学経済学部30周年記念論文集)
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概要
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割引債は,将来の不確実の金利の動向に左右され,その資産価値を変動させる.割引債の保有に伴うこのような価値を損ねるリスクを回避する一つの手立てとして,割引債を対象資産とするデリバティブがある.本稿の目的は,割引債を対象資産とするヨーロピアン・コール・オプション・プレミアムの評価式を導くことにある.株式を対象とする株式コール・オプションの値付けについてのブラック・ショールズ式の導出と同様に,リスク中立的測度(同値マルテンゲール測度)の下で対象資産の行使日における価格の分布を求めて,割引債コール・オプション価格式を決定することができる.しかし,株式コール・オプション式が利子率が一定のもとでのデリバティブ評価であるのに対し,割引債コール・オプション式は,利子率が変動する場合のデリバティブ評価である.したがって,割引債コール・オプション式を,リスク中立法で求めようとすると利子率と対象資産の価格との同時分布を必要とし,行使日のコール・オプションのペイ・オフのリスク中立的測度のもとでの期待値の計算は相当に煩雑になる.そこで,われわれは,確率測度を変換し,フォワード中立確率測度の下で対象資産の行使日における相対価格の分布を求め,この確率測度のもとで,割引債の行使日におけるペイ・オフの期待値を計算し,割引債コール・オプション価格を決定する.本稿の構成はつぎのとおりである.1フォワード・レート2フォワード・レートと割引債のダイナミックス3割引債の相対価格のダイナミックス4フォワード中立確率測度5割引債デリバティブ6割引債の相対価格の分布の対数正規性7ペイ・オフの期待値8割引債ヨーロピアン・コール・オプション評価
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