バブル崩壊後の人口移動均衡化に対する経済力格差の説明力 : 経済力格差要因とコーホート要因を統合した説明
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概要
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本研究の結果、次の諸点が判明した。・第一次石油危機後の1970年代後半、バブル崩壊後の1990年代前半は、9地方の転出入超過数がゼロに近付き、「人口移動均衡化期」といえる。この時期に地域間分配所得格差は解消していないので、人口総数の回帰分析からは「経済的不均衡が人口移動を引き起こす」という通常の経済学的説明は妥当しないように「みえる」。・年齢コーホート別回帰分析結果の係数値は、総数の係数値と概ね一致し、年齢コーホート別回帰分析は、総数を要因分解したものとしての意味を有する。・年齢コーホート別回帰分析結果によれば、例えば「15〜19歳が20〜24歳になる過程」では9地方・8期間の数値が順相関となる。「20〜24歳が25〜29歳になる過程」では、各地方を時系列でみると順相関であり、以上から分配所得格差が常に日本の人口移動の説明要因になってきたことは明確であるが、9地方のクロスセクション分析では分配所得格差縮小期に逆相関となる。この逆相関現象を「打ち消し現象」と呼ぶ。・分配所得格差縮小期に発生する強い「打ち消し現象」が、通常の経済学的説明が妥当しないように「みえる」要因である。・年齢コーホート別回帰分析結果によれば、10代の係数が低下傾向にある。この要因としては、高校進学率・出生率の低下(兄弟数の減少から生ずる家の継承など家族的要因)が作用していると思われる。・第一次石油危機後の第1期人口移動均衡化とバブル崩壊後の第2期人口移動均衡化期では、後者の係数のプラス・マイナスの絶対値が前者より小さいという相違がある。
- 中京大学の論文
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