維持期脳血管疾患者が目標とする歩行能力 (古川勝巳教授定年退職記念号)
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概要
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脳血管疾患者に対する地域リハビリテーションでは、さまざまな場所でプログラムが立案され,実践されている。そのようなプログラムを円滑に遂行し、効果を得るためには、参加者に何らかの目標を提示することが重要である。ところが、今日のリハビリテーションにおいてそのような目標値はほとんど提示されていない。そこで本研究は、維持期脳血管疾患者に対する移動能力のトレーニングにおける目標値について検討することを目的とした。対象者は、1)自立歩行が可能なこと、2)発症後1年以上経過していること、3)脳血管疾患を再発していないこと、4)重度の失語、失行、失認、痴呆、感覚障害がない維持期脳血管疾患者97名(すべて男性)であった。対象者の移動能力と日常生活調査を評価した。移動能力は、維持期脳血管疾患者でも測定可能なUp & Go、10 m歩行時間,3分間歩行距離を用いて、日常生活調査はNouri and Lincolnが開発した質問紙を用いた。全対象者の移動能力は、Up & Go16.7±9.1秒、10 m歩行時間17.2±9.7秒、3分間歩行距離119.3±62.9 m であった。日常生活活動は、移動4.2±1.9点、炊事2.8±1.6点、家事2.7±1.9点、余暇活動3.2±1.5点であった。次に日常生活調査の移動項目の自立度を用いて、日常生活活動と移動能力との関係をみると、移動項目が1点変わるとUp & Goと10 m歩行時間がおよそ4秒、3分間歩行距離がおよそ20 m増減することが明らかになった。よって、この数値が維持期脳血管疾患者の移動能力に関する目標値にすることが妥当と考えられた。
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