1930年代の御真影管理厳格化と学校儀式 : 天皇信仰の強制と学校教育(<特集>教育における「国家的価値」と「普遍的価値」)
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概要
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本稿は、1935年の天皇機関説事件を契機に近代天皇制と教育との関係に大きな質的転換があったことを、御真影と学校儀式の取り扱いを検討する中で明らかにしようとするものである。具体的には、国立公文書館所蔵の文部省関係資料を再検討するとともに、筆者が調査した府県庁文書をその検討の対象に加え、(1)昭和天皇・皇后御真影下付手続きに関する諸事項とそのとき発覚した御真影汚損の実態とそれに対する府県レベルでの対応、(2)上述の事態を深刻に受け止めた文部省が各府県に係官を派遣し「御真影奉安状況視察」を実施し「奉護」形態状況把握に努め、その上で「行政指導」とでもいう形で御真影「奉護」規程の「統一化」を図ったこと、(3)さらに、1936年以降の文部省は、神社様式奉安殿の普及に努めると共に、「強制」下付という形で高等教育機関から初等教育機関すべてを対象に御真影の「強制」下付を実施するのと同時に、四大節学校儀式挙行を通牒で強制的に推進したことを明らかにした。
- 日本教育学会の論文
- 2007-12-28
著者
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