高齢者の計算能力に対する音楽の効果
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概要
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昨今、高齢者施設ではさまざまな療法が行なわれているが、その中には音楽療法、学習療法等があげられる。音楽療法においては、効果として認知症の高齢者の発語が多くなる、全く発語のない高齢者が歌の1フレーズを繰り返し口にする、表情が明るくなり、昔のことを話すようになる、等が実際に介護を行なう職員から聞かれている。一方、学習療法においては、音読、単純計算が前頭前野を活性化させることで、認知症の予防、コミュニケーション能力の向上に繋がることが証明され注目を浴びている。本論では、高齢者施設に入所する入所者に対し、計算ドリルに音楽を介入することで、計算能力に与える音楽の効果について実験を行ない、考察した。その結果、音楽の有無と計算能力との間に関係はみられず、計算能力に対する音楽の効果はないという結果に至った。しかし、実験を行なうことで、その他の効果がみられるに至った。それは、実験を行なったことで施設を利用する高齢者の意欲が生活習慣を変え、また、介護職員とのコミュニケーションのあり方にも変化がみられ、情報収集のひとつの手段となった。このように、実験を通して個別のかかわりをもつことでもたらされる効果が、高齢者にとって最も重要であると考える。
- 2007-12-20