小児脳動静脈奇形に対するガンマナイフ治療
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
当科にてガンマナイフを行った小児脳動静脈奇形の治療成績を検討した.男児15例,女児28例の43名,平均年齢は11.7歳,フォローアップ期間は24〜144カ月(中央値: 49カ月)であった.照射時のナイダス体積は平均4.5ml,辺縁線量は平均19.9Gy,Spetzler & Martin (S-M) gradeはI: 11例,II: 13例,III: 14例,IV: 5例であった.照射後3年での累積完全閉塞率は50.0%,5年で80%であった.ナイダス体積別の閉塞率は5ml未満が82.1%,5〜10mlが55.6%,10ml以上が50%であった.S-M gradeと閉塞率に相関はみられず,多変量解析において辺縁線量のみが完全閉塞に関与する傾向にあったが,有意差を得るには至らなかった.経過中,MRI T2強調画像上の高信号域出現は,43例中14例で照射後平均14.5カ月に確認され,この高信号域消失までは平均9.5カ月を要した.うち4例が症候性で運動麻痺が3例,痙攣が1例に生じたが,いずれも一過性であった.周辺脳浮腫を生じた14例のうち8例(57.1%)で一時的にステロイドを使用した.ガンマナイフ後の出血は3例(7.0%)に生じたが,嚢胞形成などの長期合併症はみられず,永続的な神経学的合併症も生じなかった.われわれの経験から,S-M gradeが低く安全な外科的摘出が十分に期待しうる場合には,小児例においても直達手術のほうが望ましいと考える.一方,eloquent areaや深部に存在するナイダス体積が5ml以下の病変にはきわめて有効な治療手段であり,ガンマナイフによる積極的治療を考慮するべきである.
- 日本脳神経外科コングレスの論文
- 2008-02-20
著者
-
周藤 高
横浜労災病院 脳神経外科
-
猪森 茂雄
横浜労災病院 脳神経外科
-
藤野 英世
横浜労災病院 脳神経外科
-
松永 成生
横浜労災病院 脳神経外科
-
末永 潤
横浜労災病院 脳神経外科
-
周藤 高
横浜労災病院脳神経外科
-
末永 潤
横浜労災病院脳神経外科
-
藤野 英世
横浜労災病院脳神経外科
関連論文
- 小さな脳動静脈奇形の自然歴 : ガンマナイフ治療を施行した2000例の初回出血の検討
- 脳動静脈奇形に対するガンマ・ナイフ治療 -本邦における多施設共同研究-
- F-108 肺癌脳転移に対する局所療法の検討
- 脳動静脈奇形に対するガンマナイフ治療後の嚢胞形成
- 大後頭神経領域を中心とする頭痛を示した頸部髄液漏の1例
- OP-148 腎癌脳転移に対するガンマナイフ治療(腎腫瘍/症例1,一般演題口演,第97回日本泌尿器科学会総会)
- 小児脳動静脈奇形に対するガンマナイフ治療
- 無症候性脳動静脈奇形に対するガンマナイフ治療
- 未破裂脳動静脈奇形に対する臨床判断分析に基づく治療法の選択 : 経過観察か,ガンマナイフか,手術か?(未破裂脳動静脈奇形)
- 脳転移を来した乳房外 Paget 病の1例
- 脳動静脈奇形に対するガンマナイフ治療後にlatency periodの出血は自然歴と比較して減るか?
- 画像上脳腫瘍と鑑別困難な大病巣を呈し,髄液中の抗神経抗体上昇と血清・髄液中の抗ribosomal P 抗体高値をみとめた全身性エリテマトーデスと皮膚筋炎のオーバーラップ症候群
- OP-499 腎癌脳転移に伴う脳浮腫のコント口ール : ガンマナイフの治療効果に関する考察(腎腫瘍/薬物療法4,一般演題口演,第98回日本泌尿器科学会総会)
- ガンマ・ナイフ治療後1年目における聴神経腫瘍の縮小効果と線量分布との関係
- 小さな脳動静脈奇形に対する治療選択 : 臨床判断分析による検討(脳動静脈奇形の治療選択)
- 肺癌脳転移に対するガンマ・ナイフ治療
- 視床・基底核部脳動静脈奇形に対するガンマナイフ治療の 効果と合併症について
- 視床・基底核部脳動静脈奇形に対するガンマナイフ治療の効果と合併症について
- OP-038 腎癌脳転移に対する治療戦略:腫瘍制御および脳浮腫制御能からみた治療選択 : ガンマナイフ,手術,薬物療法について(腎腫瘍/手術1,一般演題口演,第99回日本泌尿器科学会総会)
- 脳動静脈奇形に対するガンマナイフ治療後に生じる血管腫様病変の画像および病理所見について
- 脳動静脈奇形のガンマナイフ後に生じた血管腫様病変の3手術例
- 頚椎術後C5麻痺の成因と予防 : 自験5例の解剖学的考察
- 複数回の塞栓術と反復的ガンマナイフ治療で完治した大型脳動静脈奇形の1例