英国における擬似市場の展開と高齢者福祉政策
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概要
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1980年代以降,欧米において国家の構造編制に変化がみられてきた.その変化のひとつは公共部門の改革であり,改革の下で擬似市場が導入された.英国の擬似市場は「コミッショニング型」という特徴をもち,競争の促進と規制の両面を併せ持っている.コミッショニングにおいて支配的なアクターは地方自治体であり,公的責任と権限をもっているが,その態勢には多くの利害関係者が参画するため地域の意思決定の余地が生まれている.擬似市場の実施運営責任の大きさから判断すると,意思決定の分権化が必須要件となる.一方,サービス購入において,地方自治体が設定する公定価格が事業者に影響を及ぼしており,地方自治体の契約形態も介護の質を左右している.特に施設経営の面では,地方自治体が施設予算を抑制するために,事業者が経営困難に直面するという事態が生まれている.英国の擬似市場の課題として,国から地方自治体への財源移譲が不可欠であることを明らかにしている.
- 一般社団法人日本社会福祉学会の論文
- 2007-08-31
著者
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