レンコン栽培における被覆肥料を用いた窒素の減肥および節水管理が収量および窒素排出量に及ぼす影響
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概要
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レンコン田からの窒素排出量低減対策の一環として,茨城県行方郡北浦町(現在行方市)のレンコン田群において,2000年4月26日〜2002年2月28日の2作にわたり中晩生の'寿'を供試し,耕作者が同一な隣接する2ほ場において次に示す低投入区と慣行区とを設置した.低投入区の施肥は溶出期間100日タイプのシグモイド型被覆肥料を用い,慣行区の29%減肥となる1作当たり170kg ha^<-1>の窒素を全量基肥として施用した.慣行区はIB態窒素肥料を用い,1作当たり240kg ha^<-1>の窒素を基肥および2回の追肥に同量ずつ分施した.低投入区の水管理は給水口に自動水管理器を設置し節水管理とした.慣行区は耕作者が慣行と同様に水栓バルブを手動で開閉した.なお,両区とも腐敗病防除のため土壌表面は常時湛水状態に維持した.この結果の要約は,以下のとおりである.1)低投入区におけるレンコンの収量は2作とも慣行区と同等であり,被覆肥料の施用および節水管理の組み合わせにより,窒素を29%減肥することが可能と考えられた.ただし,8月が低温,寡照であった2作目は,両区とも標準収量を下回った.2)低投入区における1作当たり(341日)のかんがい水量は,節水管理により808mmと慣行区に比較して54%減少し,これに伴い,表面流出水量は761mmと56%減少した.3)低投入区における1作当たりの窒素の全収入は,減肥および節水管理により210kg ha^<-1>と慣行区に比較し30%減少し,これに伴い全支出は124kg ha^<-1>と26%,表面排出量と浸透排出量を合計した総排出量は68kg ha^<-1>と41%減少した.低投入区における総排出量の減少は,主として節水管理による表面流出水量低減の効果によるものであった.4)窒素の表面排出は慣行区では年間を通して常に認められたが,低投入区では水掘り時,降水量の多い梅雨・秋雨時期,表面流出水の全窒素濃度が高い基肥後に限定された.
- 2007-08-05
著者
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折本 善之
茨城県農業総合センター園芸研究所:(現)茨城県農業総合センター笠間地域農業改良普及センター
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武井 昌秀
茨城県農業総合センター園芸研究所
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武井 昌秀
茨城県農業総合センター園芸研究所:(現)茨城県立農業大学校園芸部
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折本 善之
茨城県農業総合センター園芸研究所
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折本 善之
茨城県農業総合センター
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