弱者の連携 : 気象教育の生き残る道
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
気象教育に限らず,科学教育,あるいは教育そのものが,その本質的な重要性にもかかわらず,他の重要なこと(強者)におされ,重要性に見合った教育活動やそれを支えるものが十分ではないという「弱者」の立場に甘んじている。しかし,大多数の国民にとって,気象について系統だった学習を最後に行えるのは中学校の理科の単元「天気とその変化」である。したがって,この単元で学習内容をどこまで扱うかは国民の気象に関する知識・理解(国民の常識)のレベルをそのまま規定するものであり,気象教育の要になる部分である。そこで現行の小・中学校の学習指導要領から気象教育に関する部分を教科書の章立てと並べて,小学校では「なぜ」に関する部分が欠けている点を,中学校では学習内容が日常の気象現象にストレートに生かせそうで案外生かせない点を指摘する。さらに昭和22年,26年に試案として発表され,33年,43年,52年,平成元年,10年に改訂された学習指導要領から気象教育に関する学習内容を項目別に具体的に整理し,それぞれの学習指導要領に基づく教科書で気象単元に割り当てられているページ数が減ってきていることを明らかにすることで,気象教育が「弱者」へ転落してきたかを示す。このような現状の中で,今後の気象教育のあり方として「弱者の連携」を提言する。気象教育と同様に,重要であるにもかかわらず,実際には軽視されている「弱者」は多く存在する。それらとの連携の形を提案し,気象教育だけでなく連携相手のメリットも示す。われわれは気象教育の生き残りをかけて,「弱者」同士の連携により,それぞれの領域の重要性を,子どもをはじめとする国民にしっかりと知らしめ,理解者を増やしていく,すなわち「強者」を目指していくべきではないだろうか。
- お茶の水女子大学の論文
著者
関連論文
- みんなで協力して環境を守るために : 6色ハット討議法による合意形成
- 第3学年総合カリキュラム : 第3学年で取り組んだ総合的な学習の記録資料
- 第2学年で取り組んだ総合的な学習の記録資料
- 第1学年で取り組んだ総合的な学習の記録
- 宿泊行事の検討 : 志賀高原から那須へ
- 塩化銅の電気分解
- 水の電気分解
- 日本の天気の特徴大気の動きと海洋の影響
- 生きている理科室(リスク管理・危機管理編)
- 弱者の連携 : 気象教育の生き残る道
- 蒸留でエタノールを取り出す
- 学級通信メールマガジンの発行 : その将来の可能性
- 「伝わる」ように「伝える」ための工夫を探って : 生徒どうしで教えあう天体の動き
- 接続期と子どもの協働の実践例(2)小中接続期 (日本学習社会学会第5回大会報告) -- (シンポジウム 幼・小・中をつなぐ教師と子どもの協働--お茶の水女子大学附属幼稚園・小学校・中学校の連携研究から)
- ハイテク機器だけがメディアじゃない! : 天体の動きの「伝わる」発表を目指して
- 理科よろず相談室No.9
- 言語活動を充実させよう
- マヨネネーズをつくろう(家庭でトライ!!,化学だいすきクラブニュースレター)
- 感熱紙の秘密を探る(家庭でトライ!!,化学だいすきクラブニュースレター)
- ゲストティーチャーを呼ぼう
- 児童・生徒の安全・安心に配慮した理科室の経営のあり方(全学年) : 生きている理科室 : リスク管理・危機管理編(定番!化学実験(小学校・中学校版)25-不定期発行)
- 化学変化と原子・分子(中学校第2学年) : 塩化銅の電気分解(定番!化学実験(小学校・中学校版)16)
- 物質の成り立ち(中学校第2学年) : 水の電気分解(定番!化学実験(小学校・中学校版)13)
- 蒸留でエタノールを取り出す(「物質の状態変化」(中学校第1学年),定番!化学実験(小学校・中学校版)02)
- 数学セミナー別冊 ガリレオ・サイエンスシリーズNo.1「どうして,理科を学ぶの?」, 滝川洋二+理科カリキュラムを考える会編, 日本評論社, 2002, 180ページ, 1,619円+税(書評・推薦図書)
- 実験結果の予想