森田学説に対する児童学の影響について : モンテッソーリメソッドとの関連
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概要
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森田学説に対する教育関連領域の諸研究の影響を検討した研究が次第に発表される様になってきた。特に近年モンテッソーリメソッドと森田学説の関連に関わる研究が幾つか発表されている。森田が自身の「神経質」治療に際して、それを患者の再教育と呼んでいたことからも分かるように、森田学説は構成部分として教育的なアプローチを含みモンテッソーリメソッドにもたびたび言及していたことが知られている。本研究では、こうした状況をを踏まえて森田正馬全集および全集に未収録の論文の中からモンテッソーリメソッドに関する森田の言及箇所を調査し、モンテッソーリメソッドに関する記述が8文献にみられることを明らかにすると共に、言及された時期が「初期森田学説」の時期に偏っていることを確認した。また記述内容を検討して、森田正馬のモンテッソーリメソッド理解には少なくとも2段階の時期が存在する可能性があること、また森田のモンテッソーリメソッドに対する関心の中心は初期森田学説の時期とそれに続く数年間は主に子どもの自由・自発性に向けられていることを示唆した。またモンテッソーリメソッドへの言及が1928年を境にして変容していることを示し、これが森田学説の変遷を考える上で重要な意味を持つ可能性があること、即ち患者の主体性に関わる評価が森田学説の中で変化した可能性があること、その際「ありのまま」から「あるがまま」への変容過程を跡付けることが重要な課題となることを示唆した。更に今後の課題として、モンテッソーリメソッドについて当時森田が知り得た研究を調査して、森田のモンテッソーリメソッドに関する理解の実相に迫ることの必要性についても述べている。
著者
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