森田学説に対する児童学の影響について : モンテッソーリメソッドとの関連
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
森田学説に対する教育関連領域の諸研究の影響を検討した研究が次第に発表される様になってきた。特に近年モンテッソーリメソッドと森田学説の関連に関わる研究が幾つか発表されている。森田が自身の「神経質」治療に際して、それを患者の再教育と呼んでいたことからも分かるように、森田学説は構成部分として教育的なアプローチを含みモンテッソーリメソッドにもたびたび言及していたことが知られている。本研究では、こうした状況をを踏まえて森田正馬全集および全集に未収録の論文の中からモンテッソーリメソッドに関する森田の言及箇所を調査し、モンテッソーリメソッドに関する記述が8文献にみられることを明らかにすると共に、言及された時期が「初期森田学説」の時期に偏っていることを確認した。また記述内容を検討して、森田正馬のモンテッソーリメソッド理解には少なくとも2段階の時期が存在する可能性があること、また森田のモンテッソーリメソッドに対する関心の中心は初期森田学説の時期とそれに続く数年間は主に子どもの自由・自発性に向けられていることを示唆した。またモンテッソーリメソッドへの言及が1928年を境にして変容していることを示し、これが森田学説の変遷を考える上で重要な意味を持つ可能性があること、即ち患者の主体性に関わる評価が森田学説の中で変化した可能性があること、その際「ありのまま」から「あるがまま」への変容過程を跡付けることが重要な課題となることを示唆した。更に今後の課題として、モンテッソーリメソッドについて当時森田が知り得た研究を調査して、森田のモンテッソーリメソッドに関する理解の実相に迫ることの必要性についても述べている。
著者
関連論文
- 「特別支援教育」の授業に関する実践的研究
- 児童における社会的事象の認知 : 学年差,地域差の分析
- 子どもの疲労感 : 学年差の分析(創立三十周年記念号)
- 不登校児童生徒の心理的・行動的変容に寄与した冒険キャンプのとりくみ
- 教師教育の実践報告 大学の専門教育カリキュラム改革の十年と学生の変容
- 不登校生徒を対象とした2週間の野外教育プログラム
- 合同キャンプにおける自己概念の変化
- 初期森田学説における「神経質」について
- 教師教育の実践報告 学校教育教員養成課程統合下における新入生の専攻志望動向の変容構造
- キャンプの個別プログラムに対する不登校生徒の評価
- 青少年の広域事業としての合同キャンプの評価 : 冒険,体験,いじめ根絶のための連続キャンプ
- キャンプ経験が不登校生徒に与える心理的影響
- 野外体験が自己概念におよぼす効果
- 釧路市の冒険教育プログラムの取り組みと参加者の自己概念の変容
- 釧路市の野外教育プログラムの参加者の自己概念の変容
- 釧路市の冒険教育プログラムの効果
- 1990年代の道東の子どもの生活(1)
- 釧路湿原の保護を住民はどのように考えているか?
- 児童における社会的事象の認知-情報源の分析-
- 道東の子どもの疲労感
- 森田学説に対する児童学の影響について : モンテッソーリメソッドとの関連
- 292 予測活動の発達的検討(1) : 方略と成績の関連(発達10,発達)
- アレルギーの徴候と行動
- 皇太子「結婚の儀」のマスコミ報道に関する学生への意識調査
- 軽い脳障害をもつ境界線クラスの精神発達遅滞児に対する遊び指導
- 森田正馬と雑誌「児童研究」
- 釧路校「親子遊びの教室」と地域子育て支援事業との連携に関する試み