プロタミン含有インスリン投与歴のある糖尿病患者で,体外循環離脱直後に重篤なプロタミンショックを起こした1例
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概要
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症例は60歳,女性.2型糖尿病のためインスリン治療中で,プロタミン含有インスリン(ヒューマリンN^[〇!R])の使用歴があった.今回,近医で心電図異常を指摘され,当院紹介となった.冠状動脈造影で慢性完全閉塞の2枝を含む3枝病変と診断され,冠状動脈バイパス術となった.体外循環終了後,プロタミンを投与したところ,心臓の収縮は良好であるにもかかわらず,収縮期血圧が急激に35mmHgまで低下したので,ただちに体外循環を再開した.エピネフリンを投与したところ,血圧は上昇し,体外循環を離脱できた.その後はプロタミンの中和を行わずに手術を終了した.術後経過は良好で,術後18日目に独歩退院した.術後に10倍稀釈プロタミンによるプリックテストを行ったところ,陽性であった.プロタミン含有インスリンの使用歴があると,プロタミンに対して免疫学的に感作されている可能性があり,プロタミンの投与により重篤なショックに陥る危険性が高く,注意が必要と思われた.日心外会誌37巻1号: 29-31 (2008)
- 特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会の論文
- 2008-01-15
著者
-
伊藤 久人
県西部浜松医療センター 心臓血管外科
-
山本 希誉仁
県西部浜松医療センター心臓血管外科
-
山本 希誉仁
県西部浜松医療センター 心臓血管外科
-
平岩 卓根
県西部浜松医療センター心臓血管外科
-
平岩 卓根
県西部浜松医療センター 心臓血管外科
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