アーバスキュラー菌根菌が地上部の植食性昆虫に及ぼす影響 : 植物と昆虫の相互作用研究における地下部からの視点(<特集2>ミクロな世界からの新展開)
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概要
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土壌中に普遍的に存在しているアーバスキュラー菌根菌(AM菌)は、植物の根に共生することで植物の栄養塩類の供給を促進し、植物の発育や定着を助ける。AM菌は、植物の形質を介して植食性昆虫の発育や生存に正から負まで様々な影響を及ぼす。このAM菌の影響の違いは、植食性昆虫の摂食特性ごとにAM菌による植物の形質変化に対する感受性が異なることで現れる。さらに、AM菌は、この感受性の違いによって植物上に植食性昆虫群集の構成を変える可能性がある。また、土壌中には多くのAM菌が同所的に生息し、植物は複数の種類のAM菌と同時に共生関係を結んでいる。AM菌の種や種構成の違いは、植物の成長や質に差を生み出し、その結果、植食性昆虫の発育や生存の違いをもたらす。このため、AM菌が植食者に与える影響は、植食者の違いだけでなく、AM菌の違いによっても変化する可能性がある。本稿では、AM菌が植食性昆虫に及ぼす様々な影響を紹介し、この影響の違いをもたらすメカニズムについて考察する。さらに、この分野の研究が植物と植食性昆虫の相互作用研究に果たす役割について、「群集の形成過程」と「植物の誘導防衛」に注目して論じる。
- 日本生態学会の論文
- 2007-11-30
著者
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