腎盂腎炎の生体防御機構に関する研究 : Proteus mirabilisによる実験的腎盂腎炎における腹腔Macrophageの機能亢進と感染防御効果の検討
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概要
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腎盂腎炎に対する生体防御機構において,Macrophage(Mφ)が果たす役割を明らかにする目的で,Proteus mirabilis(P.mirabilis)によるラット逆行性腎盂腎炎を作成し,腹腔MφのSuperoxide(O^-_2)生成能をその機能の指標とし,感染腎の病理組織学的gradeおよびmortality rateを感染防御効果の指標として検討を加えた.薬剤により生体防御機構を修飾した状態で両指標の変動を比較検討した結果,Mφの感染防御的役割について,以下の知見を得た.1)P.mirabilis膀胱内接種後7日目の腹腔MφのO^-_2生成能は,正常ラットのそれとくらべ明らかに増強した.2)生体防御機構に修飾を加えたラットにP.mirabilisを膀胱内接種した結果,腹腔MφのO^-_2生成能はMφの機能亢進剤(Diethylstilbestrol)で有意に増強,免疫賦活剤(OK432)で増強傾向を認めたが,免疫抑制剤(Cyclophosphamide)およびMφの機能抑制剤(Carrageenan)では,有意の減弱および検出限界以下であった.3)感染腎の病理組織学的gradeおよびmortality rateを指標とした感染防御効果の検討では,OK432を投与した場合にのみその効果がみとめられ,Cyclophosphamide,Carrageenan投与のみならずDiethylstibestrol投与においてもその効果は認められなかった.これらの結果より,MφはP.mirabilisの感染により機能亢進を示すが,Mφの機能亢進剤およびMφの機能抑制剤投与下ではO^-_2生成能には変化をきたすものの,感染腎のgradeとmortality rateを総合した感染防御能の検討では差を認めず,本実験系における感染防御効果としては従たる役割であると考えられた.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1985-12-20
著者
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