より高度な不妊治療を継続し出産に至った女性の体験
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
不妊治療は,ある治療段階で妊娠に至らない場合は,より高度な治療段階へと移行する。本研究は,不妊治療でのステップアップをしながら治療を継続し,出産に至った女性の体験を明らかにすることを目的とした。便宜的抽出法により高度生殖補助医療による治療後に妊娠・出産・育児を経験した10名の女性に研究協力を依頼した。対象は,研究参加に同意を得た8名の女性である。調査は半構成的面接を実施し,治療を継続する女性の気持ちに焦点を当てて該当する文脈を抽出し,カテゴリーとして整理した。8名の女性の不妊治療期間は1〜4年で,不妊治療のうち人工授精は0〜12回,体外受精は1〜5回の治療を受けていた。治療継続をした女性は,治療継続に向けて気持ちを自ら引き上げる状況を説明する『見通しをつける』『バランスを保つ』『新たな治療段階への覚悟をかためる』『前治療段階からの解放感』,その一方で治療継続に伴い落ち込んでいく気持ちを説明する『月経ごとの強い落ち込み』『治療継続への躊躇』『現段階治療の限界を認識する』というカテゴリーに分類できた。その背景には『女性の気持ちを尊重してくれる夫の存在』があった。治療の倫理性と挙児への希望の間でゆれる『治療継続への躊躇』は,治療から時間を経過した女性であっても未だ語れない体験である。看護者は,生活者としての女性を尊重すると共に,不妊治療継続への躊躇や治療の倫理性に直面した際のカップルの決定を支える看護ケアの可能性を検討することが課題である。
著者
関連論文
- チームのチカラで支援する周産期の看取りのケア : 周産期の死別ケアにおいて助産師が感じる困難さ
- 地域と大学が協働して展開する次世代育成支援事業の効果 : 小学生,乳幼児の保護者及び関係職種に与える影響の分析と,地域ぐるみで行う子育て支援活動のあり方の検討(平成16年度神戸市看護大学共同研究費(臨床)研究実績報告書)
- 乳幼児と小学生のふれあい事業に関わった民生児童委員の思い : 地域と大学が協働で行った次世代育成支援事業の効果
- 臨地実習の技術経験実態調査からみた技術教育への一考察
- 看護実践能力育成へ向けた学内技術演習の組織化(平成17年度神戸市看護大学共同研究費(一般)研究実績報告書)
- 効果的な看護実践能力育成へ向けた看護技術教育の組織化 : 本学における看護技術教育の実態調査(平成16年度神戸市看護大学共同研究費(一般)研究実績報告書)
- 不妊にまつわる悩みの相談 : 大阪府不妊専門相談事業の取り組み
- ほてり体験のある女性への植物性エストロゲンを中心とした食事プログラムの効果判定
- 経産婦の産まない性に関する記述研究
- より高度な不妊治療を継続し出産に至った女性の体験
- わが国の助産師による周産期の喪失を経験する女性や家族へのケア
- 流産・死産・新生児死亡に関わる助産師によるケアの実状
- 調査研究 助産師による助産ケア内容の適正化に関する検討(2)緊急搬送事例の判断の過程と搬送前後の経過について
- 不妊治療のステップアップ時の心理的特徴とその援助(平成14年度神戸市看護大学共同研究費(臨床)研究実績報告書)
- 兵庫県内の産婦人科を標榜する診療所および病院における助産師の需要調査
- 神戸市看護大学学生における助産師教育に関するニーズ調査
- 助産師による助産ケア内容の適正化に関する検討--緊急搬送事例の判断の過程と搬送前後の経過について
- 助産師による助産ケア内容の適正化に関する検討・報告(4・最終回)「快適さ」と「安全性」を確保するために重視しているケアとその適正化の検討
- 不妊相談室における難治性不妊女性への看護ケアの検討
- 単科病院・診療所に就業する看護職者のDVに関する認識とDV被害者邂逅の実態調査
- 助産師による助産ケア内容の適正化に関する検討・報告(2)分娩期の快適さと安全性のケアの検討
- 助産師による助産ケア内容の適正化に関する検討・報告(1)妊娠期の快適さと安全性のケアの検討
- 自尊感情が低下した不妊女性を支える看護
- 流産・死産・新生児死亡にかかわる助産師によるケアの現状
- 不妊相談室における難治性不妊女性への看護ケアの検討(平成13年度神戸市看護大学共同研究費(臨床)研究実績報告書)
- 男子学生の母性看護学実習指導に関する文献的考察
- 出産に関するニーズ調査 : 快適な出産環境の提供を目指して(平成13年度神戸市看護大学共同研究費(臨床)研究実績報告書)
- 乳幼児の事故予防に関する調査