陳舜臣文学の誕生における時代背景
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概要
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陳舜臣(1924-)は現在日本の文壇で活躍する華裔作家である。彼は中国の歴史と文化を題材とした文学作品を描いてきた。陳舜臣文学は日本文学の範疇だけではなく、更に国を越えた文化、言語という独特な特徴があり、日中文化の真髄を表した文学といえるだろう。陳舜臣は日本戦後の社会変革、文学復興の中で、家業の貿易に従事しながら文学への道を探索し、最後には文学の世界に身を投じる。新人作家として、彼は自分の得意とする表現方法を選択しなければならなく、そして読者の鑑賞傾向の変化にも対応し、更に社会の需要に適応していかなければならなかった。戦後日本文壇の変化、多元文化の神戸、独特な華僑社会が陳舜臣文学を形成する重要な要素である。本稿は陳舜臣が文壇に向かった軌跡(1949-1961)に沿って、彼がどのようにして文学作品のスタイルを探求したのか。いかにして戦後文学の蘇りの波の中で文壇に登場するようになったのか。それに加えて、陳舜臣文学誕生の社会環境と時代背景を分析する。それが陳舜臣の二重文化の背景と独特な文学特徴の理解に役立つと共に、多元文化の社会環境が作家に与える影響を明らかにすることができると思われる。
- 愛知淑徳大学の論文