アジア諸国における都市化・少子化・非婚
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概要
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アジア諸国において,経済発展が低い段階で第一次産業が中心であった時代,農村では共同で作業を行うことから,家族の絆は強く,また伝統が受け継がれるように各個人の行動には,おのずと制約が加えられていた。また女性においては,戸主に従い家事・育児・老親の世話などの家庭内のすべての仕事を引き受けていたといっても過言ではないように思われる。特に,儒教の影響を強く受けている国々においてはその傾向が強いと思われる。しかしながら,経済が発展し,産業構造において第三次産業が大きなウエートを占めるようになると,家族の形態とりわけ女性のライフスタイルが大きな変容を遂げるようになってきた。農村から都市へ移住する人々が増大し,核家族で住むようになってきた。女性にも教育投資が行われ,高学歴の女性が増えてきている。彼女達は,これまでの性の役割に根ざした拘束から解放され,一人の人間としての生き方を追求するようになってきている。一方でこれを可能にするような女性労働市場の改善,家庭労働に代替するような家庭電化製品の拡大が行われてきている。また女性のライフスタイルの変化の結果で,晩婚・非婚・少子化などの現象も起こってきている。本論文においては,アジア諸国における都市化の推移を概観し,経済発展とともに女性のライフスタイルが大きく変化してきていることを実証的・理論的に説明しようとしている。従来,女性の行動を規定してきた社会的通念・慣習が経済社会の発展に伴って変容を遂げてきている。その背景として,家族形態も変化し,結婚の意味,あるいは結婚生活による生活スタイルも多様化してきている。非婚・少子化による,老親の世話の問題に関して,これまでの家族中心(子供中心)から公的な支援体制に中心を移しつつあるが,これは一方で,財政的問題を引き起こしている。本論文の理論分析では,ゲーム論的なアプローチから,東アジアにおける家族構造の変容のメカニズムを明らかにしている。そこにおいて,個人の行動変化がどのように関連して社会的な現象として現れてきているかが,詳細に説明されている。
著者
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