活性酸素消去酵素アスコルビン酸ペルオキシダーゼのダイコン根における組織内局在性
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概要
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緑色植物の細胞内に不可避に生じる有害な活性酸素は,アスコルビン酸ペルオキシダーゼを中心とした分解・消去酵素系により解毒される.この解毒作用は光合成や呼吸が盛んに行われるときに活発になることが知られている.緑色植物の発芽過程の初期には,呼吸活性の増大とともに幼根が急速に生長する。そこでダイコンの発芽過程初期(播種後2日目)の幼根を用いてアスコルビン酸ペルオキシダーゼ活性が高い先端下部におけるこの酵素の組織内局在性について調べた.組織プリント法により幼根先端下部(先端より0-1.5mm)の横断切片をさらに縦に2分し,その縦断面をニトロセルロース膜に写し取り,抗体を用いた免疫学的方法により顕微鏡下でアスコルビン酸ペルオキシダーゼを検出したところ,頂端分裂組織下方の根冠と接する位置にこの酵素の存在を示す顕著な発色が現れた.この結果から,ダイコン発芽過程初期の根においては,細胞分裂が最も盛んに行われる頂端分裂組織で呼吸活性が急速に高まり,その結果生じる活性酸素をアスコルビン酸ペルオキシダーゼが活発に分解・解毒することが推測された.
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