熱帯の野菜有機栽培における生物多様性の病虫害抑制効果
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
フィリピンやタイでの作物や果樹の混植栽培で,病虫害が予想以上に抑制される現象に着目し,タイ国チェンマイ市郊外の堀割りや木立ちに囲まれた水田跡地に,各小面積に植えた野菜数種類を混作する栽培を年間3作,2年間継続して,病虫害をこみにした被害率が89%から2年後に6%に低下する事実を認めた.被害率が最初の20%まで低下した期間は1.5年(18カ月)で,これが東京付近で経験的に自他ともに認められる病虫害が減少する3年間の1/2であること,また年間平均気温がチェンマイで26℃,東京で16℃で温度差の10℃から,Q_<10>=2の温度反応式を満たすことを認め,有機農業の継続栽培による病虫害の減少が,地上・地下の多様な生物の集団の抑制作用によることを推定した.また,混作の継続により虫害が病害より早く減少し,雨期に乾期より病虫害が低下することを観察した.さらに生物多様性の進化の理論から,有機農業における生物多様性による病虫害抑制作用は養・水分が補給される限り,時間的に進行することを理解した.
著者
-
杉山 信太郎
恵泉女学園園芸短期大学園芸生活学科野菜園芸学
-
SINTH Sarobol
Thailand Research Fund, Regional Office
-
TAWAN Hangsoongnern
Rainbow Farm
-
Sinth Sarobol
Thailand Research Fund Regional Office
関連論文
- ホウレンソウ葉肉プロトプラストの初期培養条件の改良
- ホウレンソウにおける単為生殖の一事例
- 熱帯の野菜有機栽培における生物多様性の病虫害抑制効果
- ホウレンソウ品種の耐暑性実験
- ホウレンソウにおける雌性間性の遺伝
- ホウレンソウ雌性間性系統F6の環境変異
- アブラナ科野菜のキスジノミハムシ抵抗性について
- タイ国における社会開発と温帯園芸作物の導入について
- ホウレンソウの生育におよぼす長日条件の影響
- 大豆の起原と伝播について