von Hippel-Lindau病患者の遺伝子異常と表現型
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概要
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von Hippel-Lindau (VHL)病は血管芽腫,腎透明細胞癌,褐色細胞腫,膵腫瘍,精巣上体嚢胞腫,などの腫瘍が多発する常染色体優性遺伝の家族性腫瘍症候群であり,VHL遺伝子がその原因遺伝子とされている。今回我々は,当科においてVHL病が疑われる4家系22名の患者に対し遺伝子解析を行なった。VHL遺伝子のβsheet領域のナンセンス変異の症例では褐色細胞腫を伴わないVHL病タイプ1の表現型を示し,α domainのミスセンス変異の家系では褐色細胞腫を伴うVHLタイプ2であり,既報の所見を確認できた。また,新規変異を同定した家系1では,褐色細胞腫に加えて肝血管腫の合併を見出した。最近VHL遺伝子のノックアウトマウスで高率に肝血管腫を発症することが報告された。今までヒトのVHL病で肝血管腫合併の報告は乏しいが,今回合併例が見出されたことより,VHL遺伝子変異の種類と肝血管腫合併の関連について注意深く観察し分析することは病態のメカニズム解明に重要であると思われる。
- 神戸大学の論文
著者
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飯田 啓二
神戸大学大学院医学系研究科 内分泌代謝・神経・血液腫瘍内科学
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高橋 健太郎
神戸大学大学院医学系研究科 内分泌代謝・神経・血液腫瘍内科学
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高橋 健太郎
神戸大学大学院医学系研究科応用分子医学講座内分泌代謝・神経・血液腫瘍内科学
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