夏季の北部根室海峡における風による宗谷暖流の流入過程
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1987年の8〜9月において知床東岸域でCTD繰り返し観測および係留観測を実施した。繰り返し観測による水温と塩分の断面は風による沈降と湧昇を示唆した。しかし湧昇を示した北東向きの風の卓越時でも鉛直断面分布は表層水温・塩分の上昇を示すとともに,係留系の水温も上昇しており,この沿岸域への高温高塩分な水塊の流入を示した。また80m深付近における塩分極大値の分布から,北東向きの風のとき宗谷暖流水のコアは海峡中央部に分布していた。1972〜2000年の7〜9月における羅臼のデータを解析したところ,風速は常に北東向きが卓越しており,北東向きの風の強さと沿岸水温の時間変化率が有意な相関を示していた。現実的な海底地形を導入した数値モデルを用いて風応力の時間変化に対する流れ場と塩分場の応答を調べた。風を与えずに準定常状態としたのち,南西向きの風を吹かせると,海峡の東側からの流入がわずかに見られるものの,海峡中央と知床西岸からの流入は見られない。その後,北東向きの風を与えると知床西岸から知床岬の先端を迂回して海峡中央への宗谷暖流の流入がみられた。この結果は観測結果と矛盾せず,風による海峡への暖流の流入の可能性が示された。
- 2007-11-05
著者
-
河野 時廣
東海大学生物理工学部
-
佐藤 政俊
東海大学地球環境科学研究科
-
川崎 康寛
北海道区水産研究所
-
佐藤 政俊
北海道東海大学理工学研究科
-
河野 時廣
北海道東海大学理工学研究科
-
河野 時廣
北海道東海大
-
川崎 康寛
北海道区水産研
-
河野 時廣
東海大学生物学部海洋生物科学科
関連論文
- 2006年10月-2007年7月のオホーツク海北海道東部沿岸域における水塊構造
- 夏季の北部根室海峡における風による宗谷暖流の流入過程 : 観測結果および数値実験結果
- 夏季の北部根室海峡における風による宗谷暖流の流入過程
- 北太平洋亜寒帯域におけるArgo CTDデータによる傾圧構造
- 北西太平洋亜寒帯域を中心とした海洋環境変動と低次生態系変動
- 北海道泊村沿岸におけるホソメコンブ遊走子の挙動解析の試み
- 北太平洋西部亜寒帯循環域における黒潮暖水塊86Bの変質と減衰過程
- 親潮の流動構造-1-1989年夏季の傾圧流量収支と親潮水系の流路 (親潮水域における海洋環境と飼料生物生産維持機構の解明)
- 2001-2007年の夏季観測結果による北海道西岸域の高塩分中層水
- 北海道南東沖における親潮の係留観測結果について(北太平洋北西部とその縁辺海の水塊変動と循環)(平成13年度共同利用研究集会講演要旨)
- 海面高度計と海洋観測データを用いた北海道南沖合域の海況変動 : 1992年10月〜11月の事例解析
- 北太平洋中層水の起源--オホ-ツク海における観測から (総特集 オホ-ツク海研究の展望)
- 親潮の季節変動 (総特集 黒潮親潮移行域の物理・生物・化学過程) -- (1章 黒潮親潮移行域の物理過程)
- 中部千島列島海域における亜寒帯水の分布と輸送について
- オホ-ツク海千島海盆と北太平洋千島列島南部海域との海水交換について (北西太平洋の海洋循環と混合水域の海況変動)
- カイアシ類生息環境としての中層親潮
- 亜寒帯とオホーツク海の水塊変動と厚岸沖親潮の流量変動 (特集 北太平洋亜寒帯循環)
- ウルップ係留系と親潮 (総特集 北太平洋亜寒帯循環と気候変動(SAGE)--明らかになってきた北太平洋亜寒帯域の海洋循環) -- (2章 北太平洋中層水の形成と分布)
- 北海道南東沖Aライン上における春季の毎日CTD観測に基づく1か月より短い水温・塩分の変化と年変化との比較