介護老人保健施設利用者と「分かちあい」の関係に至るまでの看護師のしぐさの分析
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概要
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本研究の目的は,介護老人保健施設利用者と看護師が「分かちあい」の関係に至るケア場面から,看護師のしぐさ(視線・ジェスチャー・姿勢・接触・表情)を抽出し,その特徴を検討することである。「分かちあい」の関係とは,ケアを受けて利用者に生じたポジティブな気持ちが看護師にわかり,看護師も同型の気持ちを感じる同時的な感情共有の場面である。利用者8名と看護師9名を対象として,ケア場面を観察し,観察直後に個別でインタビューを行った。ケア20場面の観察記録から看護師のしぐさを抽出し,カテゴリー化した。さらに,インタビュー記録から利用者・看護師のケアの感じ方の関係を分類し,分類別のケア場面間で看護師のしぐさを比較し,「分かちあい」の関係のしぐさの特徴を検討した。看護師のしぐさは12のカテゴリーに分類できた。時間経過で出現するしぐさが異なり[構える][働きかける][同時的なしぐさをする・離れる]の3段階を捉えた。「分かちあい」の関係に至った10場面のしぐさは,[構える]段階で,全20場面に共通する《見合う》《相手の方にからだ(胴体)を向ける》《高さを合わせる》に加えて《上体を前傾させる》《物に触れる》が多くみられた。[働きかける]段階では,[構える]段階のしぐさを続け,《身体に触れる》手の動きのみで,基本的に利用者と同様の頭・からだを動かさない姿勢を保持していた。[同時的なしぐさをする・離れる]段階では,同じ行動を同時的に行う《笑い合う》《握手する》がみられた。「分かちあい」の関係に至る看護師のしぐさの特徴が「相手の姿勢に合わせた身構え」「見合いの継続」「からだの不動」「手の接触」「しぐさの共有」にまとめられ,全過程を通して利用者のしぐさと「同調する」ことと捉えられた。
- 2004-06-23
著者
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