"Patient compliance" の概念分析
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概要
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さまざまな批判や議論がありながらも,"patient compliance"が多くの文献で用いられているのはなぜだろうか。この疑問を明らかにするために,看護,医学,心理学の領域の文献における"patient compliance"の使用のなされ方を分析し,その属性を見極めることを目的として,概念分析を行った。方法は,RodgersとKnafl(2000)により提唱された概念分析の方法に基づいて行った。分析対象は,1975年から2000年までに,看護,医学,心理学の領域で出版された定期刊行誌の英語文献から選択した。MEDLINE,CINAHL,PsyclNFOにおいて,"patient compliance"あるいは"compliance"をキーワードとしている文献,それぞれ3,874,986,3,095文献を母集団に,5%,10%,5%を無作為に抽出し,計399文献をサンプルとした。分析は,タイトルとアブストラクトの記述を中心に行い,必要時本文を確認した。分析によって,以下の事柄が明かとなった。"Compliance"の属性は,次の5つであった。(1)ヘルスケアプロバイダーが用いる用語としての"compliance"(2)ヘルスケアレシピエントに関する用語としての"compliance"(3)ヘルスケアレシピエントの一定の行動を問う用語としての"compliance"(4)一定期間の行動を問う用語としての"compliance"(5)時間の経過とともに変化する"compliance""Compliance"と相互交換可能に用いられている代替の用語は,"adherence"であり,関連概念は,"mutuality""therapeutic alliance""concordance"であった。分析により,"patient compliance"は,ヘルスケアレシピエントの行動が,ヘルスケアプロバイダーの助言に一致したか否か,あるいは一定の期間における一致の度合いを表す概念であることが明らかとなった。本概念によって言及される情報は,医療者の実践内容に影響する重要なものであり,この点が,さまざまな議論や批判がありながらも,本概念が多くの文献で用いられている理由と考えられた。
- 聖路加看護大学の論文
- 2005-06-20
著者
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