トウモロコシ改良集団の集団選抜による早生化
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概要
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米国コーンベルトには,農業上有用な遺伝子を集積した多くの改良集団がある。しかし,それらを我が国の寒冷地帯に導入した場合,多くは晩生に過ぎ何らかの方法で早生化を図る必要性が生じる。本報告は,米国より導入した改良集団BS13(S_2)C_1を用いて,早生化に対する集団選抜を比較的小さな集団で,5サイクルにわたって実施した結果である。集団選抜の効果を調べるとともに組合せ能力を含む他の幾つかの形質に及ぽす選抜の影響を,それぞれの形質の集団平均値および分散をパラメーターとして調べた。集団選抜の5サイクルによって,雄穂抽日で10.1日,絹糸抽出日で7.1日早生化した。これは,サイクルあたりそれぞれ2.0日および1.4日に相当した。さらに,本実験から得られたデータを用いて,集団の標準偏差(s),選抜差(k),および遺伝率(h^2=0.53)から,集団選抜の効果(ΔG)の推定式ΔG=0.53ksを得た。早生化に対する集団選抜の影響として,初期生育および百粒重の増大,稈長および着雌穂高の減少,絹糸抽出の遅延および有効雌穂数の減少がみられた。実施したC_0〜C_2間の組合せ能力の比較では差はなかった。集団選抜が諸形質の集団の変異性に及ぼす影響は,選抜対象形質である出穂形質も含めて,著しく悪い影響は認められなかった。
- 日本草地学会の論文
- 1984-10-31
著者
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