経年化に伴う草地生産力低下の土壌間差異

概要

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北海道根室地方の758ヵ所の採草地における実態調査の結果から,草地の経年化に伴う牧草生産力低下の土壌間差とそれをもたらす主要な要因を明らかにしようとした。その結果,草地の経年化に伴う低収傾向は,未熟火山性土地帯の方が厚層黒色火山性土地帯より著しかった。この傾向は,草地の主幹草種であるチモシーの減少とケンタッキーブルーグラスやレッドトップの増加に象徴される草種構成の悪化と対応していた。このような草種構成の悪化は,未熟火山性土地帯の方が急速であった。これは主として両土壌の塩基保持能,酸性化に対する緩衝力の差異によってもたらされ,これに加えて両土壌の窒素供給力および越冬期の気象条件の影響も関与していると考えられた。以上の結果から,草地の経年化に伴う主要な低収要因は,草種構成の悪化による草地の施肥反応の低下であると考えられた。また,土壌の化学的な性質や冬期間の気象条件の差異が,経年化に伴う草種構成の悪化速度に土壌間差をもたらし,その結果,低収傾向が土壌地帯によって異なったと考察した。
日本草地学会の論文
1983-10-28