入牧開始月が乳用育成牛の繁殖に及ぼす影響
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概要
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山口県育成牧場に預託されたホルスタイン種雌育成牛613頭を用いて,入牧開始月(移行期)が育成牛の繁殖に及ぼす影響を検討した。その結果は次のとおりである。1)初回交配月齢は,12.8〜27.4ヵ月齢,平均値で17.5±2.3ヵ月齢であり,初回交配時の体重は,246〜385.3kg,平均値で308.9±26.9kgであった。平均受胎月齢は,18.6±2.9ヵ月齢,交配回数別の受胎成績は,初回54%,2回23.2%,3回11.4%,4回以上11.4%であった。性周期は,最短6日,最長211日,平均36.2±30.8日であり,18〜24日を示すものが,52.6%,その平均値は20.3±3.6日であった。性周期日数の頻度では,20日の倍数すなわち40,60,80日前後でピークが現れた。2)交配頭数の季節的分布は,初回交配頭数においても,月別交配頭数においても春が最も高く,冬に減少する傾向を示し,性周期においても,35日以上の長周期を示すものは冬に多く,冬季には発惜を確認しにくいものが多くなることが認められた。3)季節による受胎率は,9月が最低で12月に最高となり,4,5月には一時的な低下がみられた。この受胎率の一時的低下は,移行期の差異,とくに5月移行期のものの低受胎率が主要因をなし,4,5月にみられる代償性発育も一因をなしているように思われた。4)移行期の繁殖効率に対する影響をみると,初回交配月齢では2月に入牧したものが20ヵ月齢と最も高く,9月に入牧したものが16.5ヵ月齢と最も低く,また受胎率では,5月に入牧したものが40%で,著しく低い値を示していた。この交配月齢と受胎率の両面から,繁殖効率に対する移行期の影響を考察すれば,夏から秋にかけて入牧したものが最もよいと考えられた。
- 日本草地学会の論文
- 1980-01-31