疼痛症状に対する奇穴の治療促進効果について : 症例からの考察
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概要
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様々な疾患には、疼痛が伴うものが多い。このような疼痛によって、ストレスを始めとする様々な諸症状が出現し、筋緊張、血管収縮などが引き起される。また、疼痛による不安感による感情の乱れもみられ、自律神経系にも悪影響を及ぼし、悪循環になると考えられている。このようなことは、中国最古の医書である『黄帝内経素問』に記述されており、情動による七情と疼痛との関係が述べられている。このように西洋医学および東洋医学的にみても、疼痛は除去されなければならない。このような、様々な症状を引き起こす疼痛に対しての鍼灸治療法は、多種多様である。その中で、奇穴が疼痛に対して有効であるという記載が古医書に散見される。このことから、十二経絡上の経穴と奇穴を併用した症例に基づきながら、疼痛症状を対象に奇穴の効果を検討した。外傷性頚椎症による頚部の凝り感および鐘骨棘による足底痛の疼痛症状に十二経絡上の経穴を用いて鍼灸治療を行い、治療効果が十分に得られなかったので奇穴をそれに併用したところ改善が促進した。これは、疼痛に対して十二経絡上の経穴だけではなく、奇穴を併用することによって治療促進効果があると示唆している。このことは、疼痛症状を有する疾患に対して奇穴を用いることは、一つの選択肢として有用であると思われる。本研究では、以上のような結果に基づいて古医書の疼痛に関する記載も検討しながら、疼痛に対する奇穴の治療促進効果について考察した。
著者
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