阿武隈川中流に流入する支流の水質(第3報)
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概要
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(1)本流のpHは,7.0〜7.4の間にある。左岸支流のpHは3.4〜7.6の問にあり,松川,荒川,須川など,上流に火山地帯がある河川と温泉水が流入する河川では酸性を示す。右岸支流のpHは,7.0〜8.4の間にある。花崗岩,石灰岩地域を流下するため,アルカリ性を示す。(2)本流のDOは,10.2〜11.4ppmの間にある。左岸支流は,8.9〜13.6ppm。DOは扇状地の支流で12.2〜13.6ppmと値が高い。右岸支流のDOは,8.7ppmと左岸より少ない。(3)本流の透視度は,7.6〜27cmと低い値を示す。左岸の透視度は,荒川32cm,濁川40cm,摺上川44.5cmで低い値を示すが,他の支流は50cm以上である。右岸の透視度は,谷底平野や水田地帯を流下する胡桃川22cm,東根川24cm,境川41cmで低い。(4)本流の電気伝導度は,61.7〜158μ℧/cmで変化する。左岸支流の電気伝導度は59.6〜891.2μ℧/cmで変化し,温泉水が流入する小川891.2μ℧/cm,須川361μ℧/cm,荒川218μ℧/cmで高い。右岸支流の電気伝導度は,117〜363μ℧/cmで,入川で363μ℧/cmと高く,谷底平野や水田地帯で高くなっている。(5)本流のCl^-の含有量は,22〜38ppmの間にある。左岸支流のCl^-の含有量は,6〜36ppmである。温泉水が流入する荒川,須川,松川で含有量が多い。荒川で36ppm,須川で32ppm,小川で28ppmである。右岸支流のCl^-の含有量は,4〜86ppmである。入川で特に高い値(86ppm)を示しているが,原因は明らかではない。(6)本流のNa^+の含有量は,3.3〜9.6ppmである。左岸支流の含有量は,0.3〜28ppmで,水原川で28ppmと多くなる。右岸支流の含有量は1〜36.6ppmの問にある。特に入川No.21入川橋で36.6ppmと最高値を示し,EC (891μ℧/cm)やCl^- (86ppm)も高い数値を示している。(7)本流のCa^<2+>の含有量は,2.5〜19ppmの間で変化している。左岸支流のCa^<2+>の含有量は0.6〜6.2ppmで,含有量は少ない。右岸支流のCa^<2+>の含有量は,3.7〜22.5ppmと比較的多く,花崗岩,石灰岩地帯を流下する境川No.28飯野で22.5ppmと最高値を示している。(8)本流のMg^<2+>の含有量は,1.8〜3.2ppmの間で変化している。左岸支流は,0.8〜8ppmであり,荒川や須川など,火山地帯の河川や温泉水の流入する河川で含有量が比較的多い。右岸支流は左岸より多く,2〜6.6ppmの間で変化する。(9)本流のNH_<4->Nは,0.12〜0.25ppmである。左岸支流のNH_<4->Nは,0.1〜0.47ppmで,反田川で0.47ppm,松川で0.25ppmと高い値を示した。右岸支流のNH_<4->Nは,0.12〜0.43ppmで,東根川で0.43ppm,岡代橋より3km上流のNo.26根小屋橋で0.32ppmと含有量が多くなる。(10)本流のPO^<3->_4の値は,0.02〜0.12ppmの間で変化する。左岸支流のPO^<3->_4は,0.001〜0.13ppmで変化し,油井川で0.13ppmを示している。右岸側支流のPO^<3->_4は,0.12〜0.43ppmで変化している。(11)左岸支流のCl^-の負荷量は,5.6〜241.9g/secで変化する。須川241.9g/sec,荒川205.9g/secで値が高く,松川159.4g/secも高い値を示している。松川,須川,荒川は,いずれも上流に温泉がある。右岸支流のCl^-の負荷量は,1.6〜93.9g/secで,木幡川で93.9g/secとなった。(12)左岸支流のNa^+の負荷量は,0.7〜98.03g/secである。松川で98.03g/sec,須川で65g/sec,水原川で57.9g/sec,摺上川で56.3g/secで高い値を示す。右岸支流のNa^+の負荷量は,0.78〜23.5g/secである。木幡川23.5g/sec,東根川18.9g/secと高い値を示した。(13)左岸支流のCa^<2+>の負荷量は,1〜35.4g/secである。荒川で35.4g/secを示した。右岸支流のCa^<2+>の負荷量は,1.2〜32.6g/secで,木幡川で32.6g/secである。(14)左岸支流Mg^<2+>の負荷量は,0.14〜72.0g/secである。荒川66.7g/sec,須川60.5g/secで高い値を示した。右岸支流のMg^<2+>の負荷量は,0.4〜9.6g/secで,左岸側に比べて負荷量の少ない地点が多い。(15)左岸のNH_<4->Nの負荷量は,0.0039〜0.13g/sec。荒川1.27g/sec,須川1.02g/sec,荒川1.02g/sec,摺上川1.05g/secなど,温泉水が流入する河川で負荷量が多い。右岸の負荷量は,0.001〜0.063g/secで変化している。
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