日本産コガラの囀りの分化

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北海道のコガラParus montanusの囀りは「チーチーチー…」という単調なもので、本州のコガラの囀りとは異なる。後者は中国の亜種affinus,stoetzneri,weigoldicusの囀りに似るか、または同じである。一方、前者はヨーロッパのコガラの囀り2タイプのうち"alpine"タイプと同じである。ヨーロッパのP. m. montanusの囀り、また最近明らかにされたアルタイ山地の個体群の囀りはともに"alpine"タイプであるが、これらは間氷期のコガラの遺存種と考えられている。このことは、ノルウェーやポーランド東部から北東アジアのタイガ帯に分布するコガラと同様に2タイプの囀りをもつ("bilingual")サハリンのコガラと違って、北海道のコガラもこのような遺存種かもしれないことを示唆する。2タイプの囀りをもつ小さな個体群が、2タイプのうちそれぞれ一方の囀りしかもたない("monolingual")個体群がヨーロッパ中央部で二次的に接した狭い地帯に生息するので、後氷期になって出現した大陸タイガ帯とサハリンの個体群はこれらの"monolingual"個体群が交雑したものであろう。広範囲にわたり再び分布を広げたコガラは、シベリア南部に残っていた森林に生存いていた交雑個体群に由来することが示唆される。北海道のコガラの囀りが本州以南のものと異なること、形態上サハリンの亜種P. m. sachalinensisに近いことから、北海道のコガラはP. m. restrictusではなく、P. m. sachalinensisとするべきであろう。
帯広畜産大学の論文
1995-10-20

日本産コガラの囀りの分化

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