インフォームド・コンセントにおける<情報開示>と<理解>の関わりをめぐって : アナロジーの可能性
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概要
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本稿は、インフォームド・コンセント(IC)の基本的要素の一つである情報開示のあり方について、「如何に理解を促し得るか」という限定的観点から検討する。ICにおいて理解を妨げる諸要因の存在を考えればそうした観点から説明様式を探ることは必要だが、開示基準をめぐる議論はこの問に十分な答えを与えない。理解を促すための説明の諸策としては、(1)情報過多の回避と(2)適切な解釈の促しが考えられるが、(2)に関してはアナロジーによる説明が、従来示唆に留まったものの有効である。ICにおけるアナロジーとは、説明すべき情報(ターゲット)と何らかの対応関係を持つ、患者に馴染みの事象(ベース)を医師が選択し、そこからターゲットを説明するというものである。他の諸策と共にアナロジーを活用することで、説明は理解を促す様式を持ち得る。アナロジーの悪用(自律の侵害)は避けるべきだが、それを留意した上であれば、説明内容の理解を促すのみならず、医師が患者に最適と判断した選択肢へと患者の同意を促すというアナロジーの活用も可能である。
- 2004-09-17
著者
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