知的障害児を対象としたダンス即興における動きの特徴 : 集団即興と個人即興に着目して(平成18年度大学院スポーツ科学研究科修士論文要旨)
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概要
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本研究の目的は、知的障害児を対象とした集団即興と個人即興における動きの特徴を明らかにすることである。15歳から18歳の知的障害児4名(ダウン症候群3名・精神遅滞1名)と、8歳から11歳の健常児3名の計7名でダンス練習を行ない、これらの被験者の中の知的障害児(15歳)1名を分析対象者とした。2005年4月からダンス練習を始め、2006年5月から9月までの5ヶ月間を実験期間とし、その内6回の測定を行なった。縦10.79m、横14.72mの空間において、7名の集団即興を行ない、その後、1名の個人即興を行なった。それらをビデオカメラ1台で撮影した。ゲームブレーカー・デジタルビデオ分析システムを用いて集団即興と個人即興における運動分析を行なった。分析尺度は「動きのカテゴリーと種類」「身体部位」「エフォート(Effort)」「移動空間」である。その結果、次のようなことが明らかとなった。1.動きのカテゴリーと種類 : 集団即興では空間を移動することが多く、個人即興では空間移動が少なく、個の運動が多かった。2.身体部位 : 集団即興の場合、移動運動のための脚の動きが最も多く、個の運動では腕が最も多かった。個人即興の場合は脚が最も多く、次に腰と上体が多かった。3.エフォート(Effort) : 集団即興は、曲線的で速く強く動く傾向があったが、個人即興は直線的で速く強く動く傾向があったが、エフォートパターンの多様化や、集団即興にはあらわれなかった不完全なエフォートパターンが現れた。4.移動空間 : 集団即興は全体を使用していたのに対して、個人即興はセンターの1番後ろを使用していた。喜びとか楽しさなど、人間の原始的な感情表現は足を中心に現れると言われるが、集団即興における仲間の存在が自信や喜び、安心感を呼び起こし、意識が外に向かい脚(足)の動きとして移動運動が多くなった。しかも心的態度がはっきりしたエフォートパターンを示したと思われる。それに対して個人即興の場合は、恐れや不安等の表現に多く用いられる後方空間に留まり、個の運動が多くなった。しかもはっきりした現象として現れない、不完全なエフォートパターンが多く、これは内的態度の多様な変化即ち不安感を示していると思われる。
著者
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