骨盤前後の傾斜角を体表から測定することの妥当性とその意義(平成16年度大学院スポーツ科学研究科修士論文要旨)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究では、健常な男性20名と女性19名を対象に、静的立位において、体表から触知した上前腸骨棘(Anterior Superior Iliac Spine:以下、ASIS)と上後腸骨棘(Posterior Superior Iliac Spine:以下、PSIS)とを結んだ線と水平線(床)とのなす角(以下、体表からの骨盤傾斜角)を、レベルゴニオメータを用いて測定し、立位X線像による計測値と対比することによって、骨盤傾斜角としての妥当性を有しているか否かを検討した。また、検者間の信頼性を有しているか否かについても検討した。その結果、体表から触知したASISとPSISとを結んだ線と水平線(床)とのなす角は、骨盤傾斜角としての相関性を有しており、妥当性のあることが明らかとなった。さらに、検者間の信頼性についても有していることが明らかとなった。したがって、骨盤傾斜角を体表から測定することは、臨床において有用な手段となり得ることが示唆された。さらに、骨盤の傾斜と腰痛との関係についても検討した。股関節に疾患を有し腰痛を合併している6症例に対して、静的立位での仙椎傾斜角〔第1仙椎上縁と水平線(床)とのなす角〕を測定した。さらに、姿勢性の腰痛を認める1症例に対して、静的立位での体表からの骨盤傾斜角を測定した。測定の結果、仙椎傾斜角ならびに体表からの骨盤傾斜角は、増大している傾向にあった。骨盤の傾斜と腰椎の弯曲との間には、正の相関があるとされており、仙椎傾斜角ならびに体表からの骨盤傾斜角が増大している症例は、腰椎前弯角も増大していることが考えられる。腰椎前弯角が増大すると、腰部に加わる力学的ストレスが大きくなるとされていることから、骨盤の傾斜が増大している症例は、腰椎前弯角も増大し、その結果、腰痛を引き起こしているのではないかと考えられた。ただし、腰痛や股関節痛が生じた結果、それらの疼痛を回避するために、姿勢の変化、つまり骨盤傾斜角や腰椎前弯角に変化が生じる可能性があることを注意しなければならない。
- 大阪体育大学の論文
著者
-
三谷 保弘
大阪体育大学大学院スポーツ科学研究科
-
三谷 保弘
大阪体育大学大学院 スポーツ科学研究科 スポーツ健康科学専修:四條畷学園大学 リハビリテーション学部 理学療法学専攻
-
三谷 保弘
大阪体育大学大学院
関連論文
- 足趾把握力が姿勢制御能力に及ぼす影響 : 足圧中心位置を前後方向へ移動させる能力に着目して
- 骨盤前後の傾斜角を体表から測定することの妥当性とその意義(平成16年度大学院スポーツ科学研究科修士論文要旨)
- 518.Functional Reach Testにおける足圧中心位置の移動について : 20歳代女性と中高年女性との比較(リハビリテーション・運動療法,一般口演,第60回 日本体力医学会大会)