英語訳聖書(c.1000-1941)における仮定法の頻度
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
古代から現代にいたる英語訳聖書のヨハネ伝を資料とし,英語仮定法の史的変化の記述を試みた。資料とした聖書は,アングロ・サクソン版,二つのウィクリフ版,レイムズ版,チャロナー版,協会版の6種で,すべてヴルガタからの翻訳である。調査方法はHarsh (1968)のものをほぼ踏襲し,すべての定動詞句にあたり,仮定法の出現回数を,仮定法の現われる文法環境別に,仮定法を四つのタイプに分類して調査した。四つのタイプとは,(1)Inflected Subjunctive,(2) Modal Auxiliary Construction,(3) Non-Distinctive Subjunctive,(4) Preterite Inflectionである。調査の結果,最初のウィクリフ版は,開放条件節で,他の版,特に後のウィクリフ版に比べてModal Auxiliary Constructionが不自然に多いことが明らかになった。もとのヴルガタのラテン語法に強く影響されたためと考えられる。最初のウィクリフ版を排除し,Harsh(1968)では触れられなかった後の方のウィクリフ版に中期英語を代表させることにより,図一2が得られた。図-2は,中期英語でNon-Distinctive Subjunctiveが増加していること,近代英語では,Non-Distinctive Subjunctiveが減少し,それと対照的にMadal Auxiliary Constructionが増加していることを示している。このことは,いわゆるSubstitution Theoryを支持するものと考えられる。
- 帯広畜産大学の論文
- 1981-03-25
著者
関連論文
- Voices of Japan : 地域の声を世界に向けて
- エドウィン・ダンの手紙 : (1)1875年度分
- 英語教材の計量的分析のためのパソコン用プログラム試案 : (2)ソート
- エドウィン・ダンの手紙 : (2)1876年度分
- 『カンタベリ物語』におけるshallとwill : 計量文体論的アプローチ
- エドウィン・ダンによる報文 : (1)1878年度の年次報告
- 英語教材の計量的分析のためのパソコン用プログラム試案 : (1)データ・ファイルの作成
- 『カンタベリ物語』の計量的文体論への試み
- 『ベオウルフ』注釈(2)
- 『ベオウルフ』注釈(1)
- 英語訳聖書に見られる目的節内の動詞形の史的変化について
- 条件節における英語仮定法の通史を目ざして
- 英語訳聖書(c.1000-1941)における仮定法の頻度